PCウェル工法
お知らせ
~PCウェル(PRC構造体)の鉄筋用グラウトの充填に関して~
PRC構造体における軸方向鉄筋定着用のグラウトは、軸方向筋挿入に先立ちシース孔内に充填することを標準としています(PCウェル工法 施工マニュアル-2023年4月-)。
近年、鉄筋用グラウトの品質が向上したことから、鉄筋挿入後にグラウトをシース孔口元から注入する計画とした場合は、施工に際し現場でグラウトの充填性確認を実施し適用願います。
PCウェル工法とは、あらかじめ単体または分割で製作したプレキャスト部材を、施工地点でポストテンション方式によりプレストレスを導入しこれを積み重ねることで躯体として築造し、内部をハンマーグラブなどにより掘削しながらグラウンドアンカーを反力として、所定深度まで圧入沈設する工法です。
単体ブロックには、PC鋼棒や異形棒鋼の配置孔、グラウト注入口およびアンカープレートなどが装備され、施工現場での作業に標準化が図れるよう配慮してあります。
掘削方法は土質に合わせてハンマーグラブバケットによる中掘り掘削と刃口下硬質地盤掘削などがあり、幅広い土質に対応することができます。
特徴
PCウェル工法
PCウェル工法は、工場で製作されたプレキャストブロックを接着剤およびプレストレスによって緊結し、内部をハンマーグラブなどで掘削しながら、グラウンドアンカーの反力により圧入沈設する工法です。 PCウェル工法の構造には、プレストレストコンクリート構造体(PC構造)とプレキャストプレストレスト鉄筋コンクリート構造体(PPRC構造)の2種類があります。
PC構造体
PC構造体は、プレキャストブロック同士をPC鋼棒により、ポストテンション方式で2~8(N/mm²)程度のプレストレスを導入して結合し、ひびわれの発生を許さないことを前提に設計します。ひび割れが発生しない構造のため、耐久性や水密性に優れております。
PPRC構造体
PPRC構造体は、プレキャストブロック同士をPC鋼棒により、ポストテンション方式で0.5~1.0(N/mm²)程度のプレストレスを導入して一端結合し、PCウェル沈設完了後にプレキャストブロック側壁部にあらかじめ設置されたシース孔に異形棒鋼を一括挿入し、鉄筋グラウトで定着された構造体で、鉄筋コンクリート構造として設計します。 大地震に対し、終局状態に至るまでの大きな変形性能により、高い靱性を有しています。
適用範囲
外径:標準的な工場製作部材φ1.6m~φ3.5m (更なる大口径や異形断面、分割施工や現場サイト施工の実績あり)
深度:標準で60m程度 (最大75mの実績)
PCウェル2つの構造形式
中堀り圧入方式
ハンマグラフバケットによる掘削
単体ブロックを三角加圧版、六角ガイドフレーム等から成る圧入装置で固持しながら、ブロック内空部にハンマグラブバケットを自由落下させて土砂を掘削・揚土し、ブロックを圧入させて沈設する方法です。圧入における反力にはグラウンドアンカーまたは反力抗(H形鋼)の引抜抵抗を利用します。
支持圧入方式
単体ブロックをスライド桁、支持圧入桁等から成る支持圧入装置により懸垂しながら、ハンマグラブバケットまたは刃口下硬質地盤掘削機を用いて土砂を掘削・揚土し、ブロックを圧入させて沈設する方法です。刃口下掘削を行う場合の他、水上施工やブロックの過沈下の可能性のある軟弱地盤での施工で、支持圧入方式を採用します。
刃口下硬質地盤掘削機による掘削
ハンマグラブバケットによる掘削
PCウェル施工手順図(中掘り圧入方式)
施工配置図
ハンマグラブバケットによる中掘り掘削圧入方式の場合
施工配置例
大森・蒲田共同溝工事
Q&A
- Q地下水位の高い所でも施工できますか?
- APCウェル内部の掘削は水中掘削のため、施工できます。
- Q既設構造物や地下埋設物の近くで施工できますか?
- A中掘圧入式施工のため周辺地盤への影響が少なく、近接施工に適しています。また、実績も多くあります。
- Q水上では、どのように施工しますか?
- A水深が浅い場合は(2 0m程度)、据付け位置の水底の不陸を均して直接水底にブロックを据付け施工できます。深い場合は、躯体ブロックを支持することができる支持圧入装置を使用することにより施工します。
- Q施工ヤードはどれくらいですか?
- A比較的ヤードは小さいです。中央分離帯と一車線の7m幅で施工できます。
- Q施工はどの地盤でも可能ですか?
- A砂質土、粘性土、砂レキは可能です。玉石及び硬質粘土は十分な施工検討をして、施工可能か否か、補助工法が必要か否か 判断します。
- Q圧入作業時におけるPCウェルの躯体姿勢(傾斜・沈下)はどのように管理するのですか?
- A通常は、トランシット・レベル等の測量機器を用いて傾斜量・沈下量の測定を行っています。また、特に精度が要求される 場合には姿勢監視システムを導入することにより高精度な管理が可能です。
- Q掘削深度と刃先深度との位置関係はどのようにして施工するのですか?
- A中掘り圧入方式は、常に刃先を地盤に貫入させて沈設を行う方法ですが、刃先の貫入量は軟弱な地盤では多く、硬い地盤で
は少なくなります。
支持圧入方式はPCウェルを懸吊し刃先下地盤を掘削する方法ですが、軟弱な地盤では中掘り圧入方式同様に刃先を地盤に 貫入した状態で沈設を行います。下記に掘削の状態を示す。 - Q水中掘削土の処分方法はどうなるのですか?
- A水中掘削等による場合、粘性土は泥土となり産業廃棄物処分となります。また、砂質土・礫質土は、残土として処分するの が一般的です。
PCウェル施工写真
千葉モノレール 基礎(φ1.6~3.5m)
浜松町駅跨線橋 基礎(φ3.0m)
つくば高架橋 PCウェル基礎(φ3.0m)
新御堂筋線梅新南ランプ 基礎(φ3.5m)
角島大橋 橋脚基礎(φ4.0m)
幕張A地区デッキ 基礎(φ2.0m)
PPRC工法施工事例
佐世保高架橋 基礎(φ5.0m)
日本橋川橋梁 基礎(φ2.5m)
つくばEXP 基礎(φ3.0m)
和田橋拡幅下部 基礎(小判3.8m)
高谷JCT高架橋 基礎(φ3.5m)
新六斗橋 基礎(φ3.0m)